歯科医師国家試験対策のデンタルオレンジ
Larutan
歯科医師国家試験対策のデンタルオレンジ
Larutan
歯科医師国家試験の基本事項

多浪生の親御さんに共通すること(2)

実際にあったこんな事例

何年も予備校に通いながら、毎年真剣に取り組むのは前半だけ。少し成績があがると緊張が一気に抜けて、後半失速。予備校に来てはいるものの、現状維持程度の学習しかできていない。
大学に入学するまでにも時間がかかっていたため、彼女はすでに30歳になろうとしていました。
 
不合格が決まった3月。お母様といっしょに今後の相談に訪れた彼女は試験の結果を見ながら「うーん、もうちょっとこの科目を上げれば良かったんですよね。あー、失敗しちゃったなー。」と、饒舌に語りはじめました。
口を閉じた瞬間にこちらから攻撃されると思っていたのでしょう。
彼女の一方的な話は終わる気配がありませんでした。
 
「ちょっと数字のことは置いておこうか。このままじゃ終わらないこと、自分でもわかっているよね。あなたの人生を幸せなものにするにはどうしたらいいのかな。一緒に考えさせてくれないかな」
彼女の話を遮り、そう伝えると彼女の顔は一瞬にして凍りつき突然号泣しはじめました。
そして泣きながら
何度も何度も変わろうとしたこと
その度に失敗して自分は最低だと思ったこと
この数年、自分のことが嫌いすぎて死にたくなることさえあったこと
それでも勉強していないわけではないから、合格するかもしれないという甘い考えをもっていたこと
そんなことを話してくれました。
 
これまで、こちらのアドバイスには素直に「はい。そうですよね。がんばります」と口では言いつつも、心に響いていないことは明らかで、はいはい言っておけば話が早く終わるだろうという雰囲気だった彼女。
心の奥底に隠していた素直な気持ちを出してくれたのはこれが初めででした。
 
突破口はここしかない!これが最初で最後のチャンスかもしれない。そう思い、意を決して私は尋ねました。
「◯◯さんにとって、歯科医師免許って本当に必要?」
「、、、、、、。私には無理だって言いたいんですか?諦めろってことですか?」
絞り出すような小さな声で彼女は言いました。
「最後までがんばりぬく覚悟を決められるなら決して無理ではないと思う。この一年はすべてのことを犠牲にしてでも努力し続ける覚悟はできる?◯◯さんにとって歯科医師免許って、それだけの犠牲をはらう価値があるもの?」
そう答えると、彼女は下を向いてじっと考えはじめました。
長い沈黙の後
「先生、ごめんなさい。正直に言います。今の時期はいつだって覚悟しているつもりなんです。でも何でそれが長続きしないのか、、、。本当に情けないですけど、また同じことになってしまいそうで不安です。
ずっと歯科医師になりたいって思ってきたから、夢は捨てたくありません。
でもどうしたら自分が変われるのか、それを約束できるのか、わからないんです。」
そう彼女は答えました。
この言葉は彼女が本気で自分のことを考え始めた証拠でした。
ただただ勢いで無責任な約束をするのではなく、自分の抱えている問題もきちんと直視した上で、こちらと一緒に考えることをスタートしてくれたのです。
 
これなら行ける!
そう思った私は
「リミットを設定するのはどうかな。この一年やれることはすべてやって、それでダメなら諦める。自分自身で背水の陣をひけば後半の緩みを制御することも可能になるんじゃない?」
と提案しました。
また長い沈黙。その後に彼女は答えました。
「これまでリアルに受験をやめることなんて考えなかったから、すごく怖いです。でもそう思ったら、頑張り抜けるかもしれない」
彼女の目にはこれまで見たことがない光が宿っていました。
 
「それじゃ、ここで約束しましょう。結果がどうであれ、次の国試で受験は終わり。それでいい?」
「はい。そうします。」
と、彼女が決意に満ち溢れた声で答えるのと同時に、これまで不安そうな顔で私たちのやり取りを眺めていたお母さまが悲鳴のような声をあげました。
 
「ちょっと待って下さい!先生、そんな無責任なことを言ってもらっては困ります。これまで本人も家族も、どれだけ頑張ってきたと思ってるんですか」
 
その瞬間、彼女の中で何かがポッキリと折れたことがわかりました。
 
現在、彼女がどこかの予備校に通っているのか、自宅で勉強しているのかそれはわかりません。
でも毎年、国家試験会場に入っていくのを見かけるので、まだ結果が出ていないことだけは確かです。